感想コメント|映画「ほかげ」公式サイト|塚本晋也監督作品 趣里 森山未來 出演。2023年11月25日(土)ユーロスペースほか全国順次公開!

映画「ほかげ」

感想コメント

感想 コメント

“野火”が戦場での業火であるなら、ほかげ(火影)は、野火の後にいつまでも残る鬼火の影。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
※X(旧Twitter)より 1 2


海外、日本含めいろんな戦争映画を観てきましたが、『ほかげ』には得体の知れぬ何かを感じました。しかし塚本監督、小さな掘っ立て小屋だけで戦争の無惨さを見せきる力。oh my godです!
滝藤賢一(俳優)
※ゲーテ1月号より


大人たちが起こした争いの残骸を見つめるのは、孤児の少年の透徹した眼差しだ。彼は素浪人のようなテキ屋の男から仕事をもらったと言い残し、厳しい自立の道へと踏み出す。タイムトンネルを潜るような過去への旅から未来形の希望をつなぐ傑作。
森直人(映画評論家)
※Pen 12月号より


ウクライナに続いて中東からも戦火の報が届く今、そこにある危機として戦争が影を落とす世界の前で、それでも踏みとどまる勇気を、決意をひとりひとりが毅然と抱くことを説教臭さの欠片もなしに思わせる快作となっている。
川口敦子(映画評論家)
※『ほかげ』パンフレットより抜粋


この映画を見ることは、たくさんの名も無き命の重みを実感し、彼女ら彼らの運命を狂わせた戦争の不条理に改めて目をひらくことでもある。
争いやまぬ世界にとっても、そんな世界とつながっている日本にとっても、真に重要な映画。
恩田泰子(読売新聞編集委員)
※読売新聞オンラインより


内臓に響く音の深度、神経を尖らせる緊張感、そして定評のある美しく真に迫る映像。
立田敦子(映画ジャーナリスト)
※『ほかげ』パンフレットより抜粋


「ブレードランナー」終盤で、ルドガー・ハウアー演じるアンドロイドのロイ・バッティがハリソン・フォード演じるリック・デッカード刑事と格闘する際、相手の指を一本一本折りながら「これはプリウスの仇、これはゾラの仇」と唱えていくときの恐るべき迫力を思い出した。
巽孝之(慶應義塾大学名誉教授・慶應義塾ニューヨーク学院長)
※キネマ旬報12月号より


映画に対して、「半径数メートルのことしか描けていない」と揶揄されることがある。だが、『ほかげ』が凄いのは、映画の前半で居酒屋の店内という「限定された空間」=「半径数メートル」のことを描いているに過ぎないのに、時代や社会が描けている点にある。そして、戦場そのものを描くことなく、反戦を訴求させている。「いま、これを作らなければ!」とする、塚本晋也監督の<熱>のようなものが、不思議と映像に漂っているのである。斯様な<熱>に、時代や国を越えた普遍性があることは、ヴェネチアでの受賞結果が物語っている。
松崎健夫(映画評論家)


画面からいろんなものが聞こえたり、匂ってきたり、感じたりする。
(予算がなくても)よい役者が集まって、よい脚本があって、よいスタッフがいて、、
映画ってこれだけのことができるんだ!と知ってほしい。
三留まゆみ(映画評論家)
※DOMMUNE 「MOVIE CYPHER」Vol.19より


名もない市民が戦争の中でどう犠牲になるかを描いた、なんとも重いものを残す映画。
この映画が公開された今、ガザ地区では爆撃があり家が焼かれている。
時代背景も国も全然違うけれど、映画を観ながらそういう人たちの気持ちが行ったり来たりする。
津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
※JAM THE WORLD – UP CLOSE 11/21更新より


観終わった後、すぐに席を立てないほどの深く重い余韻がのこる映画。目を背けてはいけない、連綿と続く私たちの過去が、そこにはありました。深く私たちに繋がる闇の中で、登場人物たちが見せる凄みある生き様。そして戦火と人の闇を生き延びた少年が見せる「微かな光」。戦争で度し難い傷を心に負った人間たちを、深い眼差しで見つめた脱帽の映画でした。
谷津賢二(『荒野に希望の灯をともす』監督)


戦争が題材になっていますが、直接的な戦闘の場面は出てきません。しかし、戦争というものの悪質さ、虚しさが強烈に突き刺さって感じるのです。
松尾貴史(俳優・タレント)
※『Numero TOKYO1・2月合併号より


かつての戦争を知らない。だから、戦争のイメージにモザイクがかかっている。どんどん見えないようになっていく。特に、生活を壊された人たち、民衆の戦争はすぐに見えなくなる。力のあるものが編纂すれば、なかったことにもできる。『ほかげ』はモザイクをはがしてくれる。はがしたから、そこに遺体が見える、という話ではない。見えるのは個々の蠢きである。
武田砂鉄(ライター)
※『ほかげ』パンフレットより抜粋