第36回東京国際映画祭 アジアン・プレミア上映 舞台挨拶レポート
10月25日(水)、第36回東京国際映画祭ガラ・セレクションで『ほかげ』のアジアン・プレミア上映が行われ、観客のみなさんから惜しみない拍手が送られました。上映後の舞台挨拶とQ&Aには、塚本晋也監督と物語の狂言回しとなる戦争孤児を演じた塚尾桜雄さん、趣里さん演じる居酒屋の女のもとにやって来る復員兵役の河野宏紀さんが登壇しました。MCをプログラミング・ディレクターの市山尚三さんがつとめてくださいました。
■日程:10月25日(水)19:15~19:45 ※本編上映後の舞台挨拶
■会場:TOHOシネマズ 日比谷 スクリーン12 (千代田区有楽町1丁目1−3 東京宝塚ビル B1階)
■登壇者: 塚尾桜雅、河野宏紀、塚本晋也監督
■MC:市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
■通訳:今井美穂子
(※敬称略)
塚本監督は「今日が日本で初めての上映です。お越しくださってありがとうございます。世界がきな臭くなっている今、どうしても描かねばと思って作りました」と挨拶し、観客に感謝の気持ちを述べました。続いて、挨拶を求められた塚尾さんは満員の客席に圧倒された様子で黙ってしまう一幕も。場内からは「がんばれー!」と声援が送られ、塚本監督も「緊張してる?」と声を掛け、助け舟を出すと、塚尾さんは「嬉しいです」と笑顔を見せました。また、今作では初の舞台挨拶登壇となった河野さんは、「日本を代表する映画祭に参加できてとても光栄です」と緊張した面持ちで挨拶を行いました。
撮影時の思い出を尋ねられた塚尾さんは、「監督や趣里さん、森山さんや河野さんとたくさんお話しながら撮影しました。夏だったのですごく暑かったけど、みんなでアイスを食べながら撮影したのがすごく楽しかったです」と一生懸命に話し、その様子に会場全体が温かな空気に包まれました。塚本監督は、「塚尾くんが撮影現場をいつも明るくしてくれたのが救いでしたね。ほっとしながら撮影できました」と振り返りました。
自身で監督も務める河野さんは、「塚本監督はわんぱくな作品を撮られている方なのでとても緊張していたのですが、実際はすごく優しくて温かくて、撮影中も集中しやすい環境を作ってくれたり、すごく気遣ってくれました」と塚本監督に感謝を述べ、「僕も映画監督として、今後もチャレンジしていきたいので、現場で色々吸収しようと思っていたんですが、そんな余裕はなかったです。でも、塚本監督を見ていると、とても細部にこだわっていらっしゃって。照明ひとつにしてもすごく時間を掛けていて、そのこだわりが素晴らしい映画を作り続けられる理由の一つなんだろうなと思いました」と塚本監督の現場での様子に感銘を受けたと語りました。
河野さんを抜擢した理由を尋ねられた塚本監督が、「復員兵の役には500人以上の応募が来たんです。時節柄かなり絞り込んでオーディションしたのですが、河野くんは芝居が自然で、ウソを感じない。役に挑む姿勢のまっすぐな感じ、そして佇まいですね、大事なところですが、それが抜群に素晴らしかったんです」と称賛すると、河野さんは嬉しそうに微笑みました。
最後に塚本監督は、「今日という最初の上映に来ていただいたことが、今、嚙み締めるように嬉しく思います。祈りの映画ですので、なんとか少しでも多くの方に届けたいです」と観客のみなさんへ思いを託しました。
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